ある温泉に行った時の出来事です。

その温泉は非常にクオリティが高く、清潔で眺めが良く、ゆったりと入れる、とても満足の行くものでした。ただ、その温泉には唯一、定番の飲み物であるコーヒー牛乳が置かれていなかったのです・・・

別にコーヒー牛乳がなかったからといって満足度が下がる訳でもありません。喉が渇けば水でも買えばいいだけです(自販機は目立たないところにひっそりと設置されていました)。

しかし、コーヒー牛乳は置いておけば何人かに1人は必ず買います。この温泉はせっかくの利益拡大のチャンスを見逃しています。もったいないと思いませんか?
温泉のあとのコーヒー牛乳というのは典型的な、しかも成功確率の高いクロスセルです。多くの温泉が実施していて、効果も実証済み。思わず買うのをやめられない、そんな商品です。

つまり利益が出ることがほぼ確定しているクロスセルを、この温泉は怠っているわけです。もちろん売れ残りのリスクや場所の確保などの問題はあるでしょう。しかし、一日の顧客数から必要量の推定は行えるでしょう。とてももったいないのです。


あなたはアップセルもしくはクロスセルをしっかり行っていますか?

アップセルやクロスセルはコストがあまりかからない、利益拡大方法です。広告にお金をつぎ込む必要もありません。すでに獲得した顧客にアプローチするからです。

「アップセル、クロスセルする商品がない」
「アップセル、クロスセルしようとしても売れる気がしない」

と考えている方もいると思いますが、

では、アップセル、クロスセルとはどのように行うのでしょう?

■何を売るか

アップセルでは商品のアップグレードを促します。無料バージョンを使っている顧客には有料バージョン、有料バージョンにはプレミアムバージョンといった具合です。

「プレミアムバージョンなんて作れないよ」ということであれば、たとえば返品保証をつけてみるとか(家電製品のように)、訪問サポートサービスをつけてみるとか、電話サポートサービスをつけてみるとか、なんでも創り出すことができます。利益のでる範囲で、無形の商品を付属しても良いのです。


クロスセルではベネフィットが似通ったものや、セット提供することでベネフィットが増大するものを提供します。スーツを買った顧客にはそれに合うネクタイを、ウェブマーケティングの教材を買った顧客にコピーライティングの教材を、温泉でコーヒー牛乳をといった具合です。

ただ、必ずしも関連性の高い商品である必要はありません。成功確率は下がりますが、あなたが売っているまったく別のジャンルの商品だって、クロスセルできる可能性はあります。購入した時点であなたは顧客から一定の信頼を得ているので、ニーズさえあれば商品はなんであれ追加購入してくれるのです。


■どう売るか

実店舗であれば、たとえば豚肉のそばに「今日は冷しゃぶはいかがですか?」と、野菜とタレを買うことを勧めるポップを設置します。


対面販売であれば顧客が購入を決断してからクロスセルを行います。スーツも車のオプションも、顧客が購入を決断してから勧めますよね?(財布の紐が緩んでいるときがチャンスなのです) これは、スーツに比べてシャツやネクタイは安価である、車の値段に比べたらオプションの料金なんて気にならない、といった心理も影響しています。


ウェブであれば購入時もしくは購入後にオススメ商品を提示するのが一般的です。タイミング的には実店舗、対面販売と同じですね。ただ、ウェブの場合はポップの設置場所という制限もなければ、営業マンも必要ありません。好きな物を好きなだけ提示することができます。コストもほとんどかかりません。

つまり、商品購入後に表示されるサンクスページに、「○○も一緒にいかがですか?一緒に買えば今なら送料無料!」と書き、購入フォームを設置するだけで一定割合の人が買ってくれるわけです。


■アップセル、クロスセルは実施が簡単なので絶対に試すこと

最初にも書きましたが、アップセルやクロスセルはコストがかかりません。広告を出したり、わずらわしい契約を結ぶ必要もありません。ほんのひと手間かけるだけです。


もしあなたがアップセル、クロスセルを実施していないのであれば絶対に試すべきです。一定割合で追加購入してくれる顧客が出てきます。少し手間をかけるだけで、利益拡大は間違いないのです。



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    Yoshihiro Mashiyama

    広告、セールスプロモーション、コピーライティングなどを経験。リスティング、ウェブバナー、印刷広告、DM、FAXDM、メルマガなど、あらゆるダイレクトレスポンス媒体を用いてマーケティングを行う。

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